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病院の事業承継とは? 承継方法・進め方と経営基盤を整えるポイントを解説

日本の医療機関において、院長の高齢化や後継者不足が深刻な問題になっています。

後継者が見つからないために、やむを得ず閉院を選択する病院も少なくありません。

本記事では、病院の事業承継を進める3つの手法や具体的な手順、承継前に整理しておくべき経営改善のポイントについて解説します。

病院の事業承継とは?

病院の事業承継とは、医療機関の経営権や医療資産、組織体制を新しい後継者へ引き継ぐ手続きのことです。

現在、多くの病院でトップの高齢化が進んでいます。厚生労働省の「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、開設者・代行者である医師の平均年齢は60.2歳となっており、年々上昇傾向にあります。

後継者がいない状態で放置すると、最終的には廃院を選択せざるを得なくなります。しかし事業承継を行えば、これまで培ってきた医療サービスを存続させることが可能です。地域医療の崩壊を防ぐだけでなく、勤務する医師や看護師などの雇用を守るためにも、事業承継は大きな役割を果たします。

参考:厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」医師

病院の事業承継で検討できる3つの方法

病院の事業承継には「親族内承継」「親族外承継」「第三者承継」の3つの方法があります。それぞれの特徴や注意点を踏まえて、自院に適した方法を選択するようにしましょう。

親族内承継

親族内承継は、自分の子どもや親族である医師に病院を引き継ぐ方法です。

最大のメリットは、これまで培ってきた経営理念や治療方針をスムーズに継承できることです。患者やスタッフからの理解も得やすく、組織の混乱を最小限に抑えられます。

一方で、医療資産や自社株の引き継ぎに伴う相続税・贈与税の負担には注意しなければなりません。事前の節税対策や、他の親族との遺産分割協議を進めておく必要があります。

親族外承継

親族外承継は、親族以外の医師などに病院の経営を引き継ぐ方法です。勤務医や院内の医師が当てはまります。

すでに院内で働く勤務医であれば、医療現場の課題や人間関係を深く理解しており、承継後も医療業務の質を落とさずに運用できます。

ただし、後継者候補となる医師に十分な資金力がないケースも多々あります。そのため、資産の買取り資金をどう調達するか、また、医療技術だけでなく経営ノウハウをどう伝授していくかが課題です。

第三者承継

第三者承継は、医療M&Aなどを活用して他の医療法人や企業に病院を譲渡する方法です。

親族や院内に適任者がいない場合でも、広く後継者を募集して病院を存続させられます。譲渡側は創業者利益を得られる場合があり、買収側は新たな拠点開設の時間が短縮可能です。

ただし、経営方針や組織文化が異なる組織同士が統合するため、現場スタッフの不満や混乱が生じるリスクがあります。そこで譲渡契約の前に、双方の経営理念や就業条件を念入りにすり合わせるようにしなければなりません。

なお、医療法人のM&Aやその進め方などについては以下の記事で解説しています。

医療法人のM&Aとは?進め方と注意点を解説

病院の事業承継を進める5つのステップ

病院の事業承継は、計画の策定から最終的な引き継ぎまで段階を踏んで進めます。手続きをスムーズに進行させるための5つの手順をみていきましょう。

STEP1:現状を把握する

まず、自院の経営状況や医療資産、業務体制などを整理します。財務状況だけでなく、医療機器や不動産、職員の配置、業務の進め方なども確認しましょう。

承継後の経営を考えるためにも、現在の病院が抱えている課題を把握しておく必要があります。

STEP2:承継方針を決める

自院の課題を把握した後は、どのような形で引き継ぐか方針を固めます。

親族内承継を目指すのか、第三者への譲渡を選択するのかによって準備内容が大きく異なります。いつまでに承継を完了させるかという目標時期も設定しますが、考えることが多くなるため、必要に応じて専門のコンサルタントや機関へ相談を開始しましょう。

STEP3:後継者を選定する

承継方針に沿って、後継者を選定します。親族や勤務医などに候補者がいる場合は、医師としての能力だけでなく、経営を担う意思や経営面での準備状況も確認しましょう。

第三者承継を選ぶ場合は、候補となる医師や法人などを探し、病院との適合性を検討します。

STEP4:承継条件を協議する

後継者候補が決定したら、具体的な譲渡条件の交渉に入ります。

譲渡対価の金額、従業員の雇用継続条件、現理事長の退任時期などを細かくすり合わせましょう。第三者承継の場合は、買収側による詳細な財務・法務の調査(デューデリジェンス)を受ける必要があります。

STEP5:契約・引き継ぎを行う

条件がまとまったら、必要な契約や手続きを進め、実際の引き継ぎを行います。経営権の移行だけでなく、職員への説明や業務の引き継ぎなども計画しておくようにしましょう。

承継後も病院を安定して運営できるよう、経営体制や業務分担を整えたうえで新しい体制へ移行します。

事業承継に向けて病院の経営基盤を整える

事業承継を成功させるには、後継者を探すだけでなく、引き継ぎやすい経営状態を作っておかなくてはなりません。

承継前に取り組むべき経営基盤の整理について解説します。

財務・経営状況を見える化する

後継者や譲渡先からの信頼を得るためには、財務状況の透明化が必要です。

収益構造や固定費の内訳、病院の利益率、病床稼働率などのデータを整理し、現状の経営課題を可視化しましょう。不要な経費の削減や未収金の回収を進めて経営状態を改善しておくと、承継時の交渉を有利に進めやすくなります。

医療システム・IT環境を整える

業務の属人化を防ぎ、スムーズな業務引き継ぎを行うには医療システムの刷新が有効です。

紙のカルテや古い運用方法が残っていると、新しい後継者やスタッフが業務を把握するまでに時間がかかります。電子カルテの導入や各種業務システムの連携を進めておけば、診療データの引き継ぎが容易になり、引き継ぎ後の診療トラブルを防げます。

バックオフィスと人材体制を整える

事務や人事、経理などのバックオフィスと、医療現場を支える人材体制も整備しておきます。業務の担当者や手順を整理し、特定の職員に負担が集中していないかを確認しましょう。

また、承継後も診療を継続できるよう、職員の役割や配置についても検討が必要です。経営者が交代しても業務が滞らない体制を作ることで、新しい経営体制への移行を進めやすくなります。

病院の事業承継には経営面のサポートも活用しよう

病院の事業承継は、経営者の交代だけでなく承継後の経営体制を再構築する作業でもあります。自院のリソースだけで経営改善やシステム化、人材確保まで対応するのが難しい場合は、外部サポートの活用が有効です。

経営コンサルティングによって財務分析や課題抽出を行えば、譲渡価値を高める経営改善を進めやすくなります。また、電子カルテや業務効率化システムでIT環境を整える取り組みは、引き継ぎ時の混乱や現場の負担軽減に効果的です。

さらに、バックオフィス業務の標準化や人材支援を取り入れることで、承継後も事務部門が滞りなく稼働する体制を構築できます。経営・システム・人材を総合的に支援するサービスを利用すると、スムーズな引き継ぎと持続可能な病院運営を実現しやすくなります。

病院の事業承継についてのまとめ

病院の事業承継では、後継者の選定や契約だけでなく、財務状況やIT環境、バックオフィス、人材体制などを整え、承継後も安定して経営できる環境を準備する必要があります。

承継方法や経営体制について自院だけでの対応が難しい場合は、専門家のサポートを受けることも検討してみてください。

株式会社UPASでは、医療機関の経営コンサルティングをはじめ、業務効率化につながるシステム開発、バックオフィス業務や人材面の支援を行っています。病院の事業承継を検討している方や、承継に向けた経営基盤の整備に課題を感じている方は、ぜひ一度株式会社UPASへご相談ください。

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