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地域医療構想で回復期が包括期へ再編

令和8年7月に厚生労働省が公表した新たな地域医療構想策定ガイドラインでは、病床機能報告における「回復期機能」が「包括期機能」へと見直されました。

一見すると名称変更のようにも見えますが、実際には病床機能の考え方だけでなく、医療機関が担う役割や今後の地域医療提供体制にも関わる大きな制度改正です。特に、2040年を見据えた地域医療構想では、高齢者救急や在宅復帰支援を重視した医療提供体制への転換が進められています。

病院にとっては、病床機能報告や施設基準への対応だけではなく、自院が地域でどのような役割を担うのかを改めて整理する重要なタイミングといえるでしょう。

この記事では、地域医療構想における包括期の概要や変更点、病院が今後取り組むべき対応についてわかりやすく解説します。

地域医療構想で回復期が包括期へ再編された背景

地域医療構想は、地域ごとの医療需要を踏まえながら、必要な医療提供体制を整備するための仕組みです。今回の見直しでは、これまでの「回復期機能」が「包括期機能」へ再定義され、2040年に向けた医療提供体制の方向性が示されました。

特に注目したいのは、高齢者救急への対応や在宅復帰支援が、より明確に病床機能の中へ組み込まれた点です。病院には、単に病床区分を選ぶだけでなく、地域の中でどの役割を担うのかを具体的に整理することが求められます。

回復期から包括期へ変更された理由

従来の回復期機能は、急性期治療後のリハビリテーションや在宅復帰支援を担う役割が中心でした。

一方で、今後は高齢化の進展により、高齢者救急への対応や入院早期からのリハビリテーション、多職種連携による退院支援などがこれまで以上に重要になると考えられています。

こうした医療ニーズの変化を踏まえ、「治す医療」と「支える医療」を一体的に提供する機能として包括期が位置付けられました。単なる名称変更ではなく、地域医療構想そのものの考え方が見直された点が大きな特徴です。

病床機能報告は4区分のまま運用される

今回の改定後も、病床機能報告の区分数は変更されません。

引き続き、高度急性期、急性期、包括期、慢性期の4区分で報告することになります。

ただし、「回復期」が「包括期」へ置き換わったことで、高齢者救急への対応や在宅復帰支援などを含めた幅広い役割が期待されるようになりました。

そのため、これまで回復期として運用していた病棟であっても、新たな考え方に照らして自院の役割を整理することが重要になります。

医療機関機能との関係を理解することが重要

新しい地域医療構想では、病床機能だけでなく「医療機関機能」の考え方も導入されています。

病床単位だけではなく、病院全体としてどのような役割を担うのかを整理し、地域医療の中で位置付けることが求められています。

病床機能は病棟ごとの役割を示すものですが、医療機関機能は病院全体として地域にどのような価値を提供するかを整理する考え方です。

そのため、病床数や入院料だけを見るのではなく、救急対応、在宅復帰支援、地域連携、専門医療などを含めて、自院の立ち位置を広く捉える必要があります。 

病院全体の役割がより重視される

医療機関機能では、急性期拠点機能、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能などが示されています。これらは従来の『病棟ごと』の評価ではなく、『病院全体』の役割を示す新しい指標です。 

重要なのは、病床機能と医療機関機能が必ずしも一対一で対応するわけではないという点です。

病棟だけではなく、病院全体の診療内容や地域で果たしている役割、診療実績などを踏まえて、自院の機能を考える必要があります。

今後は、地域医療構想調整会議などでも、こうした役割がより重視されることが想定されています。

入院料だけで判断されるものではない

新しいガイドラインでは、医療機関機能は診療報酬上の入院料だけで機械的に決まるものではないことが明記されています。

例えば地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を届け出ているからといって、自動的に特定の医療機関機能となるわけではありません。

実際の診療内容や救急受入件数、手術実績、地域との連携状況など、さまざまな要素を踏まえて総合的に判断されます。

そのため、届出内容だけでなく、自院の診療実績を説明できるよう準備しておくことが重要になります。

病院が今から取り組むべき対応

包括期への見直しは、病床機能報告の区分変更に対応するだけではありません。これからの病院経営では、自院が地域医療の中でどのような役割を担うのかを明確にし、その役割を客観的に説明できる体制づくりが求められます。

地域医療構想では、2040年を見据えた医療提供体制の再編が進められており、地域ごとの医療需要や人口構造に応じて病院の役割も変化していきます。そのため、現在の病床機能や診療体制が将来も最適とは限りません。制度改正が本格化してから対応するのではなく、早い段階から自院の現状を把握し、必要な見直しを進めることが重要です。

また、医療機関機能は入院料だけで決まるものではなく、診療実績や地域への貢献度などを踏まえて判断されます。今後は、自院がどのような医療を提供し、地域でどのような役割を果たしているのかをデータに基づいて示せることが、より重要になっていくでしょう。

病床機能と診療実績を整理する

まず取り組みたいのが、自院の病床機能や診療実績を客観的に整理することです。

全身麻酔手術件数や救急搬送受入件数、在宅復帰率など、自院がどのような医療を提供しているのかを数値で把握することで、現在の役割や強みが見えやすくなります。また、病床稼働率や患者構成、地域から求められている医療機能についてもあわせて確認しておくと、今後の方向性を検討しやすくなります。

これらのデータは、地域医療構想調整会議などで自院の役割を説明する際の重要な根拠になります。感覚的な判断ではなく、診療実績や経営データをもとに病院の機能を整理することで、制度改正への対応だけでなく、将来を見据えた病院経営にもつなげることができます。

DXを活用して経営管理を強化する

地域医療構想への対応では、病床機能や施設基準だけでなく、経営データを適切に管理できる体制づくりも重要になります。

特に『高齢者救急の受け入れ実績』や『在宅復帰率』といった診療実績を日常的に可視化・分析する仕組みが欠かせません。 

診療実績や経営指標を効率的に把握できれば、制度改正への対応だけでなく、病院経営全体の改善にもつながります。

株式会社UPASでは、病院経営のDX化をはじめ、経営分析や施設基準管理、バックオフィス業務の効率化を支援しています。制度改正への対応だけでなく、将来を見据えた病院運営をサポートし、それぞれの医療機関に合わせた改善をご提案しています。

まとめ

地域医療構想における包括期への見直しは、回復期の名称変更にとどまるものではありません。高齢者救急や在宅復帰支援を重視した医療提供体制への転換を進めるための重要な制度改正であり、病床機能や医療機関機能、診療報酬の考え方も密接に関係しています。

これからは、自院の病床機能だけでなく、地域の中でどのような役割を担う病院なのかを、診療実績やデータに基づいて説明できることが重要になります。

株式会社UPASでは、病院経営のDX化や施設基準管理、経営分析などを通じて、制度改正への対応や病院経営の改善を支援しています。地域医療構想への対応や病院運営についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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