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病院でコスト削減を進める方法と注意点

病院経営では、人件費や医療材料費、光熱費、委託費など、さまざまな支出が発生します。安定した経営を続けるには、収益の向上だけでなく、日々の運営にかかる費用を適切に管理することも欠かせません。
ただし、病院でコスト削減を進める際に、すべての支出を一律に減らすことは適切ではありません。必要な人員や設備まで削ると、職員の負担や医療事故のリスクが高まり、結果として経営状態を悪化させる可能性があります。
大切なのは、支出が医療の質や業務運営にどのようにつながっているかを確認し、削減する費用と維持すべき投資を見極めることです。本記事では、病院で見直しやすい費用と、無理なくコスト削減を進める方法を解説します。

病院でコスト削減が求められる背景

病院は、収益を自由に増やしにくい一方で、運営に必要な支出が増加しやすい特徴があります。医療を提供するためには、医師や看護師などの専門職、医療機器、医薬品、診療材料、施設設備を継続的に確保しなければなりません。
経費が増えたからといって、単純に人員や物品を減らすのではなく、まずは支出の内訳を整理し、どの費用が、なぜ増加しているのかを把握する必要があります。

人件費や材料費の負担が大きい

病院の支出では、人件費や医薬品費、診療材料費などが大きな割合を占めます。医療は多くの専門職によって支えられているため、患者数が減少しても人件費をすぐに調整することは困難です。
また、医療材料やエネルギーの価格が上昇すると、診療件数が変わらなくても支出は増加します。同じ物品を部署ごとに異なる条件で購入していたり、使用量を十分に管理できていなかったりすると、気づかないうちに費用が膨らむこともあります。
支出を見直す際は、総額だけでなく、患者一人あたりの費用や診療科別の使用量、前年との変化を確認することが大切です。経費が増えた原因を明らかにすれば、医療の質を維持しながら改善できる部分を見つけやすくなります。

診療報酬だけでは費用増加に対応しにくい

病院の主な収益は診療報酬によって決まるため、一般企業のように、人件費や材料費の上昇に合わせて価格を自由に変更することはできません。費用が増えても収益が同じように伸びるとは限らず、収支のバランスが崩れやすくなります。
そのため、診療実績の向上や算定漏れの防止と並行して、契約や物品購入、業務の進め方を見直す必要があります。一時的に支出を減らすだけでなく、継続して無駄を発見できる管理体制を整えることが重要です。

病院で見直しやすい主なコスト

病院内には、人件費や材料費のほかにも、委託費、設備費、消耗品費、通信費、保守費など、多くの支出があります。削減額だけで優先順位を決めるのではなく、医療や職員への影響も踏まえて検討しなければなりません。
まずは契約内容や使用実績を整理し、現在の病院運営に合っているかを確認します。長期間見直していない契約や、担当者だけが把握している支出には、改善の余地が残っている可能性があります。

医療材料や消耗品の購入方法を見直す

診療材料や事務用品は、一つひとつの金額が小さくても、病院全体では大きな支出になります。同じ用途の物品を複数種類購入していたり、部署ごとに異なる業者へ発注していたりすると、価格交渉や在庫管理が難しくなります。
購入品目を整理し、同等の品質を持つ物品を集約すれば、発注量をまとめやすくなります。部署ごとの使用実績を共有することで、過剰発注や長期間使われていない在庫にも気づけるでしょう。
ただし、価格だけで医療材料を変更すると、使い勝手や安全性に影響する場合があります。実際に使用する医師や看護師の意見を確認し、品質、価格、業務効率のバランスを考えることが重要です。

委託契約や保守契約を確認する

清掃、給食、警備、設備管理、システム保守など、病院では多くの業務を外部へ委託しています。契約から時間が経つと、当初の業務内容と現在の利用状況が合わなくなることがあります。
見直しの際は、費用総額だけでなく、作業範囲、対応時間、利用回数、追加料金の条件まで確認します。利用していないサービスが含まれていたり、複数の契約で内容が重複していたりする場合は、整理によって費用を抑えられます。
一方で、金額だけを理由に委託先を変更すると、サービス品質が低下するおそれがあります。現場への影響や緊急時の対応体制も含めて比較することが大切です。

設備の運用方法を改善する

病院は24時間稼働する設備が多く、空調や照明、給湯、医療機器に多くのエネルギーを使用します。安全や感染管理に必要な設備を止めることはできませんが、運用方法の見直しによって負担を軽減できる場合があります。
使用していない部屋の照明や空調、設定温度、設備の稼働時間などを確認することも有効です。また、古い設備は消費電力や修繕費が高くなりやすいため、更新費用と維持費を比較する必要があります。
目先の支出を避けて修理を繰り返すと、長期的には費用が大きくなる可能性があります。故障履歴や保守費を整理し、中長期的な更新計画を立てることが重要です。

人件費を単純に削らないことが重要

人件費は病院における大きな支出ですが、単純な人数削減や採用停止は慎重に判断しなければなりません。職員が不足すると時間外勤務が増え、離職や採用費の増加につながる可能性があります。
人件費を見直す際は、人数だけでなく、業務量や勤務時間、配置状況、役割分担を確認することが大切です。人を減らすのではなく、限られた人材を有効に活用できる仕組みを整える必要があります。

人員配置と業務量を確認する

病院では、曜日や時間帯、診療科、病棟によって業務量が異なります。同じ人員配置を続けていると、忙しい部門では残業が増える一方、業務量に対して人員が多い時間帯が生じることがあります。
患者数、入退院件数、手術件数、時間外勤務などを確認し、実際の業務量に合った配置になっているかを検討します。部署間で応援できる体制や、繁忙時間に合わせた勤務を整えることで、採用を増やさずに負担を分散できる場合もあります。
ただし、数値だけでは急変対応や相談業務など、件数に表れにくい仕事を見落とす可能性があります。現場への聞き取りも行い、データと実態の両方から判断することが必要です。

職種間の役割分担を整理する

医師や看護師が、本来の専門業務以外の作業に多くの時間を使っている病院もあります。書類作成や物品管理、データ入力、連絡調整などが特定の職種へ集中すると、専門性を十分に発揮しにくくなります。
業務を洗い出し、どの職種が担当するのが適切かを整理することで、人材を有効に活用できます。定型的な作業を事務職へ移したり、共通業務を一つの部署へ集約したりする方法も考えられます。
役割を変更する際は、業務を別の職員へ移すだけでなく、手順や責任の範囲を明確にします。教育や引き継ぎの時間も確保し、現場に無理のない形で進めることが重要です。

病院のコスト削減を成功させる方法

コスト削減を継続的な成果につなげるには、経営層や事務部門だけでなく、現場と課題を共有することが必要です。削減額だけを求めると、職員に我慢を強いる活動と受け取られ、協力を得にくくなります。
何を目的に見直すのか、どの費用に課題があるのかを明確にし、効果が見込める取り組みから進めることが大切です。

経営データを可視化する

病院全体の費用総額だけでは、具体的な改善点を見つけることは困難です。費目別、部門別、月別に支出を整理し、前年や予算との差を確認することで、変化の大きい項目を把握しやすくなります。
材料費であれば患者一人あたり、人件費であれば医業収益に対する割合や時間外勤務の推移など、業務量と結び付けて分析します。数値が高いことだけを問題にせず、診療実績や病院機能に見合った支出かを判断することが重要です。
すべてを一度に変えようとせず、優先順位を決めて改善と検証を繰り返すことが、継続的なコスト管理につながります。

業務フローとDXを活用する

紙からシステムへの転記、同じデータの重複入力、手作業による集計などは、職員の時間を消費します。支出項目としては見えにくいものの、残業や入力ミス、確認作業を増やす原因になります。
業務の流れを整理し、重複する作業や不要な承認、使われていない帳票を見直すことで、限られた人員でも効率的に業務を進めやすくなります。
また、病院経営のDX化によって各部門のデータをまとめれば、材料費や時間外勤務の増加にも早く気づけます。購買申請や契約管理、請求書処理をデジタル化することも、作業時間の短縮に有効です。
株式会社UPASでは、病院経営の分析や業務フローの整理、バックオフィス業務の効率化、システム開発を通じて、医療機関のDX化を支援しています。経営データと現場業務を結び付け、継続的に改善できる仕組みづくりをサポートします。

コスト削減で注意したいポイント

病院のコスト削減では、短期間の削減額だけを成果にするのではなく、患者や職員への影響を確認する必要があります。取り組み後の変化を検証し、問題があれば運用を修正できる体制も欠かせません。

医療の質や安全性を損なわない

医療材料や人員、保守費用を減らす際は、安全性への影響を最優先で確認しなければなりません。支出を減らせても、医療事故のリスクや職員の負担が高まれば、適切な改善とはいえません。
感染管理、医療機器の点検、夜間対応、職員教育などは、直接的な収益につながりにくくても、安全な医療に欠かせないものです。削減案を決める前に、実際に業務を担当する職員や専門部署の意見を確認することが重要です。

必要な投資まで抑えない

設備更新や職員教育を先送りすると、短期的には支出を減らせます。しかし、設備故障や職員の離職が起きれば、修理費や採用費など、より大きな負担が発生する可能性があります。
情報システムや医療機器の更新、研修、施設改修は、将来の医療提供体制を維持するための投資です。支出額だけでなく、実施しなかった場合のリスクも踏まえて判断する必要があります。

病院でコスト削減を進める方法 まとめ

病院でコスト削減を進める際は、支出を一律に減らすのではなく、費用の内訳や業務との関係を確認することが重要です。人件費、医療材料費、委託費、光熱費など、それぞれの支出が増えている原因を把握することで、医療の質を維持しながら改善できる部分が見えてきます。
人員配置や役割分担、購買方法、契約内容、設備運用、業務フローを見直すとともに、経営データを継続的に確認できる仕組みを整えることが、無理のない費用適正化につながります。
株式会社UPASでは、病院経営の分析、コンサルティング、バックオフィス業務のDX化、業務改善、システム開発などを通じて、医療機関の経営改善を支援しています。病院のコスト削減や業務効率化についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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